広域災害時における災害報道

防災コラム

田中淳
2019年12月1日

 平成30年7月豪雨と令和元年台風19号という広域災害が連続して発生した。災害救助法がそれぞれ11 府県110市町村、14都県391市区町村に適用されていることからも広域であったことがわかる。限られた地域に集中的に被害が発生した災害と比べて、広域災害では支援の投入など応急対応面に加えて、命を救う災害報道という面でも課題が出ているように思う。死者に限ってみても、平成30年7月豪雨では14府県、令和元年台風19号(10月25日からの大雨による被害を含む)では13都県にわたっている。このように広域にわたると、第1に情報量が増大し、全国放送では個々に注意喚起をすることは難しくなる。個別の河川名を伝えたり、土砂災害警戒情報や避難情報を市町村単位で伝えることには限界がある。第2に、気象に起因する広域災害となると被害報と警報とを同時に伝えることとなる。被害に意識が向きがちとなる。ひとつの解決法は、県域放送を強化することであろう。少なくともL字等での対応は進んできている。ただ、全国放送である河川の状況や被害を伝える時に合わせて、当該地域の河川の水位等を伝える、土砂災害の被害と同時に土砂災害警戒情報を再度触れるなど、同期を高めて切迫感が伝えられたらと思う。今後、広域災害を念頭に置いた、携帯端末時代での新たな災害報道を考えていきたい。