「南海トラフ地震に関連する情報(臨時)」に関する企業調査

防災コラム

宇田川真之
2019年3月1日

南海トラフ地震発生の可能性が平常時と比べて相対的に高まったと評価された場合などに「南海トラフ地震に関連する情報 (臨時)」(以下、臨時情報)が発表されることとなった。静岡県の一部の沿岸部の 事業所を対象に、この情報の認知度や対策の実施状況などに関するアンケー ト調査を今冬に実施した。
その結果、臨時情報について聞いたことがある事業所は9割に及んでいた。そして1割程度の事業所が、発表時の何らかの対応計画を策定ずみでおり、約6割の事業所が今後に検討する意向であった。しかし、臨時情報について詳しく調べたことがある事業所は全体の約2割に留まっていた。発表時に行う可能性の高い対策として、情報の収集・伝達体制の確認・強化を挙げる事業所は8割を超え、業務の中断まで挙げる事業所も約半数を占める。こうした事業所の対応を検討する際の判断材料としては、避難勧告等の発令状況を挙げる事業所が最も多い。そのほかでは、従業員の出社や生活に関わる状況を挙げる事業所の方が、商取引先の状況を挙げる事業所よりもやや多い傾向が見られた。なお、こうした判断は本社ではなく現地で行うとする事業所が大半であり、今後も調査を継続したい。