緊急地震速報アプリEEWClient(多言語対応)の開発と提供

CIDIR Report

鷹野澄

2014年6月1日

 CIDIRでは地震研究所と協力して、2011年4月より学内ネットワークの中に緊急地震速報提供サーバを設置して緊急地震速報を全学的に利用可能にしている。学内で緊急地震速報を受信するとき特別なソフトは必要なく、WEBブラウザを用いてサーバにアクセスするだけで手軽に利用可能となっている。(注1)すでに学内の多くの場所で利用されているが、一方で、WEBページゆえの制約もあった。特に、本学には留学生が多いので外国語での伝達も必要なこと、実験室等の危険物のある場所では、低い予想震度でも早期に注意喚起する必要があること、などが課題であった。そこで、これらを可能にするために、パソコンにダウンロードして利用する緊急地震速報アプリEEWClient(多言語対応)を開発して学内に提供開始することにした。
■緊急地震速報アプリEEWClient(多言語対応)の特徴
今回提供する緊急地震速報アプリEEWClientの特徴は、外国語の音声で緊急地震速報を伝達可能にした点にある。利用可能な音声としては現在までに、日本語、英語、中国語、韓国語と日本語と英語の混成音の計5種類から選ぶことができる。このほかに、受信地点として、本郷、駒場、柏だけでなく国内の任意の緯度経度を設定可能であること、過去に受信した緊急地震速報をパソコンに保存して再現可能であること、緊急地震速報の受信時には画面をポップアップする、気象庁までの通信が正常かを常に監視して画面上に表示する、などの特徴がある。
■活用例
このアプリはパソコンにダウンロードして利用する事を想定している。その活用例としては、①研究室等に中国語や韓国語を母国語とする学生や研究員がいる場合に、このアプリの放送音声を中国語あるいは韓国語に設定して緊急地震速報を伝達する、②実験室等の危険物のあるところでは、このアプリの音声放送開始条件を、館内放送より低い推定計測震度(たとえば3.5以上)に設定して、多少低い予想震度でも、より早く緊急地震速報を実験室内に伝達する、③本学の遠隔研究施設等においては、このアプリの受信地点の緯度経度を設定して、その受信地点における緊急地震速報の予想震度や猶予時間を伝達する、などがあるだろう。
■ダウンロードと起動・設定変更
このアプリEEWClientのダウンロードは、CIDIRのホームページ(注2)から可能である。アプリはJAVAで開発されているので、ダウンロード先のパソコンに、JAVAの実行環境をインストールしておく必要がある。OSは、Windows/Mac/Linuxなどのどれでも良い。ダウンロードして解凍したらフォルダごと、わかりやすい場所に置き、その中のEEWClientをダブルクリックすると起動する。起動したら、タスクトレイにアイコン nl2401.pngが表示されるので、これを右クリック(Windows/Linuxの場合)して、表示されるメニューから「設定」を選択すると設定画面が表示される。設定変更の仕方は、解凍したフォルダの中にある操作マニュアルを参照して頂きたい。
 大学では、上で述べた活用例のような、館内放送ではカバーできない、きめ細やかな情報伝達が必要である。今回提供開始した緊急地震速報アプリEEWClientが、そのような目的に適したものとなることを願っている。

図 緊急地震速報アプリEEWClient
 (画面サイズを横長にした場合は、画面左側に最近受信した緊急地震速報のリストが表示され、過去に受信した緊急地震速報を再現できる。)

注1:詳細は、CIDIRホームページの「学内における緊急地震速報の利用」を参照。
注2:「学内における緊急地震速報アプリ EEWClient(多言語版)の提供」を参照。