東日本大震災における首都圏の大学生の行動に関する調査結果の報告 その2

シリーズ:東日本大震災

地引泰人
2012年12月1日

 前号では、学生側と大学側の両方の視点から、東日本大震災における安否確認の実態と今後のあり方について検討した。
 今号では、大学側が行う防災対策が学生側に伝わっているのかについて調査結果を報告する(注)。
 図1は、大学側が実施した6項目の防災対策について、学生側が震災後に見聞きした割合を示している。一方、図2は、大学側が実施(検討)をしたとする防災対策である。図1と図2の結果を比較すると、大学が行っている各種の防災対策が学生にはまだ伝わりきっていないようである。震災前と比較すると、大学側は「ポスター等の掲示」に重点的に取り組んでいるが、実際に確認した学生の割合は5分の1程度である。
 大学側から学生側への情報伝達は悩ましい問題である。大学側は、学生一人一人の情報認知を確かめる訳にはいかない。また、学生は通常4年間しか在籍せず、入れ替わりがあるためゆっくりじわじわと情報の浸透を待つわけにもいかない。そのため、様々な機会・媒体を活用して学生側に周知していくことが大切だと考えられる。例えば、理系の実験のための安全衛生講習の機会や、学生用のパソコン端末のデスクトップ壁紙なども有効活用できるのではないだろうか。

(注)
「東日本大震災における首都圏の大学生の行動に関する調査」の調査方法は前号(17号)を御参照ください。
大学の防災体制に関する調査は、以下の手順でCIDIRにより実施されました。調査は質問紙による調査とし、調査対象は首都圏および近郊にキャンパスを有する国立大学23校と私立大学56校としました。国立大学への調査は、2011年12月~2012年2月にかけて行い、22校からの回答を得ました(有効回答数95.7%)。私立大学への調査は, 2011年11月18日~12月末にかけて行い、29校の回答を得ました(有効回答数51.8%)。

図1 学生側が認知している防災対策(N=600:複数回答)
図2 大学側が実施(検討)した防災対策