学内地震速報メールの利用について :建物内の揺れを知り地震対策に活かす

鷹野 澄
2012年12月5日

学内での利用はこちら(学内限定)

 地震が発生すると、気象庁が区市町村の震度を発表するが、これと建物内の揺れはかなり異なる。日頃から、地震時の建物内の揺れを知ることは、建物内部の防災対策を進める上で重要である。そこでCIDIRでは、東京大学の本郷、駒場、柏の各キャンパスの建物内部に設置されたIT強震計を利用して、「学内地震速報メール」システムを開発した。これは、いずれかの地区で震度1以上が観測されると、図1に示すように、各地区の1階や地下などの平均的な簡易震度(※)と、各建物の最上階と1階や地下の簡易震度を、事前に登録されたメールアドレスに配信するシステムである。

        図1 学内地震速報メールの配信情報の概要

 この学内地震速報メールの活用方法であるが、第1に日頃の地震で建物内の揺れやすさを知り地震対策等に役立てることが考えられる。日頃の弱い地震で何度かこの学内地震速報メールを受信すると、建物の1階と最上階の簡易震度の差が建物によって異ることや、同じ建物でも、地震によってその差が多少異なることなどがわかるであろう。この上下階の簡易震度の差が大きい建物ほど、大地震の際に揺れやすい建物であり、特に上階ほど大きく強く揺れるので、このような建物では特に地震対策をしっかりと実施する必要があることがわかる。第2の活用方法は、大地震の際の各建物内の実際の揺れの強さを知り、そこでの被害発生の予測と迅速な対策に役立てることである。これに加えて、まだ開発途中ではあるが、大地震の際の各建物の被災度推定に役立つような情報も、将来、伝達できるようにしたいと考えている。

    図2 学内地震速報メールの携帯電話での受信例

 現在、この学内地震速報メールは、学内の方であればどなたでも受信することが可能となっている。図2のように携帯電話でも受信可能である。受信メールアドレスの登録は、以下のURLから可能である。本システムは、まだ試作段階(ベータ版)で、気象庁の震源情報の発表を待って送るようにしているためメールが届くまでに数分から10分程度かかるとか、簡易震度が配信される建物がわずかに各地区に2棟しかないなど不十分な点が少なくないが、ぜひ、受信をお試し頂き、ご意見・ご感想をお寄せいただきたい。 

 また、強震計が設置された建物ならどの建物でも、本システムで同様にメール配信を可能としたいと考えているので、建物内に強震計の設置のご希望があればCIDIRまでご相談頂きたい。

 配信先メールアドレスの登録ページ(学内限定)
http://ut-itk.eri.u-tokyo.ac.jp/sokuhomail.html

(※)簡易震度は、1秒ごとの最大加速度と最大速度から簡易的に求めた簡易秒震度の最大値で、気象庁の計測震度との相関が高い。ここではK1.5のように頭にKを付けて表す。