災害情報のインフレ化
防災コラム
関谷直也
2021年9月1日
情報は繰り返されれば、情報の価値は下がる。広告業界では、これを「疲弊する」という。簡単にいえば飽きられるのである。
避難勧告、避難指示は、条文では行政が「避難のための立退きを勧告」「立退きを指示する」ものであった。罰則はないが、重たいものである。2000年代以降、これらは情報として乱発され、避難勧告・避難指示は本来の目的(避難を勧告、指示を伝えるもの)ではなく、呼びかけ(避難をする段階なので判断して下さいという情報)という意味合いが強くなっていった。5月10日災害対策基本法改正によって「避難勧告」「避難指示」はレベル4「避難指示」に統一され、新たにレベル5「緊急安全確保」という言葉も作られた。だが、これも「躊躇なく」出されるようになってきた。
「緊急事態宣言」や「避難指示」も繰り返されれば届かなくなっていくものである。これはコロナの「緊急事態宣言」の話ではなく災害時の「避難指示」の話である。