「タイムライン防災」は、地域防災を変えた
特集:CIDIR10周年記念シンポジウムー大規模災害に備える防災情報研究の新たな地平ー
特活 環境防災総合政策研究機構 環境・防災研究所 副所長
松尾一郎
2019年3月1日
総合防災情報研究センターが設立10年を迎えることが出来たこと、お祝い申し上げます。記念すべき年に、センターの一員として話題提供が出来ることに感謝申し上げる次第です。今日は、私がいま何を取り組んでいるのか、タイムライン防災も含めお話したいと思います。
災害研究の視点で、東日本大震災や西日本豪雨などの大規模・広域災害から国民の命を守るためには、コミュニティ防災の再構築が必須と考え、自律型防災を形成する市民防災会議の規範化とタイムライン防災を普及させる観点での意思決定タイムラインやコミュニティタイムラインを地域で取り組んでいます。それに加えコミュニティ防災で重要な役割を担う消防団や民生委員・児童委員の命も守る取り組みも実施しています。
特に「タイムライン防災」は、私が国内において先駆的に取り組みをはじめ、すでに42もの市区町村でマルチステークホルダの連携による意思決定タイムラインを策定し、すでに4年の試行や本運用を経て、検証・改善を繰り返し、地域の防災を変える防災ツールとして、全国に普及しつつあります。
最近の水害調査で明らかになった課題とその改善するツールとしての「タイムライン防災」の機能を整理し述べさせて頂きます。
最近は、自治会や町内会などコミュニティ単位のタイムライン策定も増えつつあります。
災害から命を守るためには、自治体が的確に避難情報を発表しても、被災回避するのは住民です。
地域コミュニティ全体が正しく連携した被災回避行動を取ることが被害の防止に繋がるはずです。従って、自治会や町内会単位のコミュニティタイムラインは自治体と協働で推進して効果ある取り組みとなります。
すでに東京都内の町会や熊本県、三重県などでコミュニティタイムラインの取り組みが始まっています。
災害から国民の命を守るために、情報や防災の視点で社会実装すべきテーマは、無数にあります。引き続き、総合防災情報研究センターのみなさんと連携して命を守る取り組みに邁進していきたいと思っています。