地域に伝わる言葉から安全を見直す
防災コラム
宇田川真之
2018年6月1日
先月5月5日は子どもの日。色とりどりのこいのぼりが青空のなかにはためいていた街もあったことと思います。「こいのぼり」は、「鯉の滝のぼり」にちなみ、子どもの健康を願った風習と言われています。滝のぼりということで、もともとは雨の降るなか上空へ向かって泳いでいくイメージだったのかもしれません。
こうした今と昔のずれは、ご存知の方も多いかと思いますが、旧暦と新暦に約1月のずれがあって、旧暦五月は、いまの6月、つまり梅雨の頃にあたっていたためです。時代の変遷のなかで、季節を表していた言葉と自然とが一致しなくなったわけですが、こうしたことは地名にもあって、かつては土砂災害の危険を示す地名が、時代の変遷のなかで変わり分からなくなってしまったと被災地で言われることもあります。古くから地域に伝わる言葉のなかには、その土地の気候や地理地質の特徴、またそうした自然と結びついたた暮らしに係る言葉があったものと思います。
各地で行われている様々な催事やお祭りなどの機会に、その土地の言葉や風習の背景などを地域や家庭でいろいろと振り返ってみることもできたら、暮らしの豊かさとともに安全にもつながるかもしれません。今年も雨の多い時節となりましたが、各地ともつつがない初夏となりますよう、お祈りもうしあげます。