遺体の身元特定
防災コラム
沼田宗純
2015年9月1日
警察のホームページには、東日本大震災における身元不明な遺体を特定するために、似顔絵や身につけていた衣類や所持品などが公開されている。身元不明な遺体を特定することは、“血縁者探し”とも言える。家族から警察に行方不明者としての“届出があり”、家族が遺体を確認し、身元が特定される場合は容易である。
一方、“届出がない”場合はとても困難である。これは高齢者に多く、特に子供がいない場合には血縁者が限られるため届出が少ないという。この場合、①遺体発見場所から住所を推定する方法、②歯牙の照合、③似顔絵の公開、④DNA鑑定などにより身元が特定されている。①は、検視記録に記載された遺体発見場所から津波の方向性を推測し住所を推定するため、労力は大きい。②は、基礎資料として歯牙の診療記録が必要であるが、津波で流された場合には難しい。また、入れ歯の場合にも照合が困難であり、入れ歯に番号を入れるなどの工夫が必要となる。③は、東日本大震災では大きな効果があった。④は、親子関係であれば照合の確率は高くなるが、これがない場合には照合の確率はかなり低くなるため、親子関係のDNAの取得が鍵となる。
このような様々な工夫がある。今、私たちは、自分が身元不明者の一人にならないように、身に着けているものに名前を書き、身元が容易に特定されるように準備することである。