CIDIR設立時のミッション Mission
総合防災情報研究センター(CIDIR)は、東京大学大学院情報学環、地震研究所、生産技術研究所3部局の連携により、平成20年4月1日に設立されました。「情報」を核に「減災」をめざす、これがCIDIRに課せられたミッションです。
気候変動の影響による巨大台風の発生増加や、地震活動期への移行の可能性が懸念されています。予想される大規模な自然災害による被害を軽減するうえで、災害危険度の評価や予測とその周知、災害からの避難、応急対策の調整、復旧・復興における合意形成など、防災・減災のすべての段階で、「情報」が果たす役割はますます高まってきています。
しかし、「情報」を核に「減災」をめざすには、予知・予測から、災害軽減技術、情報受容プロセスまで、すべての叡智を集め、協働することが求められます。
CIDIRは、まさに情報の概念を核とした文理融合型の総合的な防災研究機関として誕生しました。防災・減災における知の結節点として機能する新しいタイプの研究機関を目指し、次の3つの連携による研究を進め、課されたミッションを果たしていきます。
- 社会情報学、地震火山学、防災工学の分野を超えた協働による総合的防災情報研究の推進
- 理学、工学、法学、経済学、医学など様々な防災関係分野の研究者ネットワークの構築
- 行政、マスコミ、企業、NPOなど社会との連携と情報発信
1. 災害情報の生産-伝達-受容過程の解明
緊急地震速報、予警報、避難勧告・指示、ハザードマップなど災害情報の生産から伝達、受容に至る全過程を解明し、その科学的知見に基づく適切な災害情報のあり方を探求しています。
2. 首都直下地震災害の全体像の把握
危惧される首都直下地震を対象に、物的被害から経済的影響、社会的影響へと研究を拡大し、首都直下地震の被害の全体像を科学的に探求しています。未開拓の研究課題や社会的課題を発掘し、減災に貢献します。
3. 大学SCM(Service Continuity Management)モデルの開発
将来を担う学生や研究者など大学の人的資源を守り、災害後も大学の社会的使命を果たし続けるための大学サービス継続マネージメントモデルを、大学本部と連携しつつ開発し、情報発信していきます。
4. 防災制度の設計と運用に関する研究
地震災害・風水害・火山災害などを対象に、事前の被害抑止や軽減策、発災後の円滑な応急対策、復旧・復興すべてのステージを俯瞰した防災制度の設計と運用に関する研究を進め、社会に提言しています。
5. 災害情報教育の実施とプログラム開発
大学院学際情報学府の教育課程に総合防災情報の専門家養成に向けた『災害情報論』を平成21年度から開講し、将来的には全学横断型科目への展開を目指します。社会との連携のひとつとしてライフライン・マスコミ連携講座を開催しています。