報告書 誤報「警戒宣言サイレン」と三島市民
1982年12月1日発行
① 災害の概要
昭和57年5月29日(土)午前3時2分、静岡県三島市内6ケ所から、東海地震の警戒宣言が発令されたことを知らせるサイレン(「地震防災信号」)が約5分間にわたって鳴るという事件が起こった。幸いにして警戒宣言サイレンの誤作動は市民の間に大きな混乱を引き起こさなかった。
② 調査の内容:
調査対象地域:サイレンの可聴地域、調査対象者:調査対象地域に居住する主婦1、240名、標本抽出法:電話帳より無作為抽出法、調査期間:昭和57年5月31日~6月3日の4日間、調査方法:調査表による電話調査、回収数および回収率:611名(49.3%)
③ 主な結果
サイレンの聴取実態:警戒宣言発令を知らせるサイレンが聞こえた人54.1%だった。住居地域がサイレンから1,000mをこえると気づかなかった人の方が聞いた人より多くなっている。
同報無線が聞こえた人:警戒宣言サイレンが鳴った直後市内113ヵ所に設置してある同報無線から訂正放送が聞こえた人は当夜市内にいた人の36.9%、聞こえなかった人は63.1%であった。
内容の理解:訂正放送の内容のわかった人は20.7%、わからなかった人は16.3%であった。
サイレンの音の理解:その場で警戒宣言発令を知らせだとわかった人は53人(16.6%)であった。本当に警戒宣言が出たと思った人は20%強にすぎない。これに対して半信半疑だった人が最も多く約半数を占めており、また3分の1の人々は全く信じていなかった。
サイレン聴取者の対応行動:当夜警戒宣言のサイレンを聞いた人の約4割の人が何らかの行動をしたと答えた。住民が実行した対応行動のなかでは、「窓を開けて様子を見た」が最も多く、半数以上に達している。
日頃からの地震不安:東海地震ついて回答者の5分の1が日頃から強い不安を感じている。
警戒宣言に関する知識:警戒宣言という言葉の知識は、知識のある人が9割弱と圧倒的多数を占めている。また、警戒宣言が出るとサイレンが鳴ることを知っている人が8割弱と、きわめて多い。
④ 提言・結論
聴取実態:当夜サイレンの音が聞こえた人は、当夜市内にいた590人のうち、319人(54.1%)、聞こえなかった人は271人(45.9%)であった。サイレンを聞ける人を増やすためには、サイレンの数を増加すること、およびサイレンの配置を工夫する必要がある。また、緊急放送システムの早期実用化を促進することが必要である。警戒宣言以前の判定会段階で何らかの公的情報を住民に伝達する方策を講じるも考えられる。
住民の心理的反応:サイレンの音を聞いた人(319人)のうちそれが警戒宣言のサイレンだとわかった人は、53人(16.6%)であった。そのうち、以前から警戒宣言のサイレンの鳴り方を知っていたのは35人(11.0%)、残りは家族等から聞いたと答えている。警戒宣言が出たと信じた人があげた理由は、「サイレンが鳴ったからには地震が来ると思った」・「日頃地震につい.て気にかけているので」など。サイレンの音は聞こえたが、警戒宣言の合図だとわからなかった人は266人(83.4%)であった。この中では、「火事だと思った」人が圧倒的に多かった(181人)。
住民の対応行動:サイレンを聞いた319人のうち、対応行動をとったのは134人(42.0%)、何もしなかった(寝てしまった等)のは185人(58.0%)であった。対応行動のなかでは「窓をあけて様子を見た」が最も多く(95人)、二番目は「寝ていた家族をおこした」(30人)であった。避難行動はゼロであった。
警戒宣言に関する知識:調査対象者611人のうち、事件の前から「警戒宣言」という言葉を知っていた人は542人(88.7%)、知らなかった人は69人(11.3%)であった。警戒宣言発令時にサイレンが鳴るという事実を知っていた人は476人(77.9%)、知らなかった人は135人(22.1%)であった。