報告書 自治体における津波防災対策の現状
2004年10月1日発行
① 災害の概要
予想される東海地震、東南海・南海地震、および北海道・東北地方による津波。
② 調査の内容
津波の危険性のある420の自治体を対象、郵送調査、平成16年4月、回答数・回収数307 (73%)
③ 主な結果
自治体の防災体制::全体の88%の自治体が地震防災対策の中で、津波被害を想定した対策を行っている。専任の防災担当者がいる自治体は31%、兼任であるが、防災業務の割合が高い自治体が33%、兼任であって、防災業務の割合が低い自治体が30%と、ちょうど約3割ずつ分布している。東海地震強化地域では100%の自治体がこれまで津波を経験していない。また、東南海・南海地震の推進地域の自治体も、東南海・南海地震推進地域と東海地震強化地域の両方に指定されている自治体も、津波を経験した自治体は1割に満たない。それ以外の沿岸自治体の28%が津波によって災害対策本部を設置した経験を持っている。「津波防災対策の章がある」自治体が67%で、これが一般的な形であることがわかる。全自治体の59%が「過去の地域防災計画を元に、自治体職員のみで作成している」。
津波警報と避難に関する対策:津波警報が発表された場合「幹部職員と防災担当職員が非常参集する」自治体が48%、「全職員が非常参集する」自治体が26%、「幹部職員が非常参集する」自治体が21%となっている。幹部職員への伝達手段は88%の自治体が一般加入電話を用いる体制になっている。一方、携帯電話を使用する割合も75%と高く、ポケベルを使用する割合は7%。津波への注意呼びかけは「自治体の広報車」が60%と多く、続いて「防災行政無線」59%と過半数を超えている。津波の避難実施計画は「全ての地域について決めている」自治体が30%、「いくつかの地域について決めている」自治体が17%と低く、避難実施計画が決まっていない自治体が全体で50%ある。災害時要援護者の避難施設は15%とまだ2割に達していない。
津波対策の訓練・研修:津波防災訓練の平均参加者数は全体で874人、住民の19%程度が参加していた。津波防災訓練の実施頻度は1年に1回以上訓練を行う自治体が約5割程度、2~3年に1回程度行う自治体が8%、ほとんどしていない自治体が34%ある。自治体職員に対し過半数の56%が研修を「したことはない」と答えている。自治体職員訓練を「定期的にしている」は33%、「したことがある」が23%、「したことはない」が35%ある。
津波ハザードマップ:23%の自治体で津波ハザードマップがあった。現在作成中の自治体が13%あったものの、残りの6割以上の自治体では作成の計画もない状況であった。マップ作成済みの自治体の27%が更新していた。更新したら配布するという自治体はマップを作成している自治体の60%であった。
④ 提言・結論
地域指定と津波経験:津波対策はまだまだ十分とはいえない。避難計画の策定、警報と避難勧告の連動、津波避難場所の別指定など、各種の津波対策を行っていない自治体も多かった。
自治体が考える問題点:津波対策の基本となる被害想定やハザードマップの策定ができていないこと、浸水予想、被害予想に基づく計画の策定がないことなどが全体の問題点といえる。各種の津波対策の阻害要因としては、地域の津波経験のなさ、市町村合併などがあげられていた。
都道府県・国への要望:災害関係の補助金(補助率の増大・補助対象の拡大)の要請な切実である。自治体が具体的に要望する補助の対象は、防潮堤や避難タワーの建設、避難路の整備といった土木工事のほか、防災無線設備の更新や既存自主防災組織の機材整備などのメンテナンス事業もあった。特に北海道地域では、ハザードマップに対する要請が多い。ハザードマップは、国または都道府県などが被害予測と基本マップを作成し、それを市町村が印刷して配布するのが望ましいといえる。さらに、専門職員の派遣、指導など、人的支援の要請がある。市町村など自治体の津波防災対策を推進するには、国が法律や制度を作ったり、都道府県が条例を作るだけでなく、資金面、データ・知識面、人材面での、国および都道府県のバックアップが不可欠といえる。