報告書 自治体における火山噴火対策の現状
2005年1月1日発行
① 災害の概要
一般的な火山噴火による火砕流、溶岩流、噴石、火山灰、火山ガスなどにより多様な災害
② 調査の内容
火山周辺自治体を対象に火山防災対策と火山情報に関するアンケート調査を実施した。調査は2003 年12 月から2004 年1月にかけて、自記式郵送法でおこなった。活火山周辺の150 自治体(市町村、都道府県、都道支庁)の災害対策担当者に調査票を送付し、回収率は62%であった。
③ 主な結果
火山防災体制:多くの自治体の防災担当者は兼任職である。約半数の自治体が専門の部署で防災計画を作成しており、過半数が2000 年以降に防災計画を改訂されている。防災計画の原案は約7割の自治体が、過去の地域防災計画を元に自治体内部だけで作成している。火山周辺の複数の自治体間で64.5%の自治体に協議会組織がある。約半数の自治体が観測データなどの情報を定期的に関係機関からもらっている。また、4割程度の自治体は異常があったときに相談できる専門家がおり、2割程度の自治体では防災会議のメンバーに火山専門家をおいていた。
火山情報の伝達:ほぼ半分の自治体で、火山情報と「職員の非常参集の基準」が連動している。多くの自治体が使っている住民への連絡手段は、広報車と防災無線およびその組み合わせである。これらに加えて、警察・消防・自治体等による戸別訪問での口頭伝達、ホームページによる広報、ヘリコプターによる広報、ラジオ・コミュニティFM による放送などの連絡手段をとる自治体もある。緊急時に住民がアクセスできる電話番号などを、火山防災マップ、ホームページ、地域防災計画等の刊行物などに載せている。夜間の通報に関しては「役所の宿直が受ける」か「消防で受ける」体制となっている。
避難体制:約半数の自治体は風水害と同じ避難場所を指定していた。約3割の自治体が近隣の自治体と避難協力協定を結んでいた。噴火直後の対策(噴火時の交通規制箇所、住民の避難経路を指定・公表、避難用のバスや船などを用意、自家用車の使用規制など)講じている自治体は2割以下であった。約半数の自治体が避難所の設置計画をもっており、約3割が長期化した場合の仮設住宅の建設計画持っている。
日常の広報体制:広報には火山ハザードマップ(自治体の48.4%)、広報誌(39.8%)、自治体のホームページ(30.1%)、火山防災パンフレット(21.5%)の他、3割弱の自治体で街頭や登山口に看板、掲示板などを設置している。約4割(39.8% )の自治体で火山防災訓練をしており、また、3割強(34.4%)の自治体で講演会などのイベントを行っているが住民参加率は低いところが多い。
④ 提言・結論
・ 自治体の枠を超えた協力体制と近隣市町村との協定等が必要である。
・ 火山噴火は場所・形態に応じた多様なシナリオ設定ごとに多様な対策を想定する必要がある。
・ 登山者等に対する周知方法、外国人観光客のために看板の設置など住民への情報伝達手段の充実が必要である。
・ 自家用車やバス等の交通機関を計画的に利用する避難計画を事前に検討することが必要である。長期避難となった場合の仮設住宅供給計画の策定が必要である。自治体の枠を超えた広範囲にわたる避難所確保、災害弱者の避難計画、入院患者の転送体制の確保、地域を超えた住民避難による安否情報の確認などについて対策が必要である。
・ 現在の地域防災計画には火山防災対策の記載がない自治体や火山に対する対策をとっていない自治体があるが、新しい想定に基づく防災計画の改訂が必要ある。
・ 各自治体は国や都道府県に対し、防災対策財源の確保・補助金の拡大、都道府県主導の災害対策、国立公園内での火山対策、火山対策広報の強化、情報伝達システムの構築、の他ハード面の支援、などの要望を持っている。