報告書 2003年5月宮城県沖の地震等における住民の行動に関する調査

2004年3月1日発行

① 災害の概要

2003年5月26日、宮城県沖の地下約72kmを震源とする、マグニチュード7.1の地震が発生した。宮城県石巻市、岩手県大船渡市・江刺市などで震度6弱が観測された。死者・行方不明者はなく負傷者は174名であった。全壊2棟、半壊21棟、一部損壊2,404棟と、震度や最大加速度のわりには被害が少なかった。このほか、目立った被害としては、JR東北新幹線(1971年着工、大宮―盛岡間は1982年開業)の高架橋で被害がみられた。合計6箇所23本の高架橋の橋脚で被害が報告されている。

② 調査の内容

本調査では、仙台市と大船渡市から津波危険地域を選定し、調査方法は面接法とし、抽出方法は対象地域の住民基本台帳から無作為抽出を行った。調査対象数は仙台市500、大船渡市500サンプル、合計1,000サンプルである。有効回収数は810サンプル、有効回収率は81%であった。調査実施期間は、地震から4ヶ月経過した9月25日から10月5日まである。

③ 主な結果

地震時に居た場所と帰宅問題: 今回の地震の発生が夕方6時半頃で自宅にいた人が多く、また、自宅以外にいた人も帰宅手段は自家用車やバイクが大半であり帰宅に大きな問題はなかった。

地震直後の行動:地震で揺れがおさまるまでの間にとった行動は、「じっと様子を見ていた」人が最も多い。「火の始末をした」や「戸や窓を開けた」、など防災行動も比較的多くとられている。

発表震度と揺れ:被害と比べて住民は強い揺れと感じたようで、仙台と大船渡の市民はともに7割以上の人が「揺れのわりに被害が小さかったと思う」と回答している。

地震直後の情報ニーズ:地震の発生直後は、全体的に見て、被害に関する情報、安否に関する情報、行動指示情報へのニーズも高かったが、それ以上に、地震の震源や規模、余震の状況、そして津波の有無など、地震についての情報を求める人が多かった。

疎通状況: 今回の地震で住民が最も困ったことの一つは、電話や携帯電話が使えないことであった。今回の地震による施設面の被害は軽微であり、障害の主な原因は通信量増加による輻輳であった。災害時に携帯電話音声が最もつながりにくく、ついで携帯メール・固定電話の疎通が悪く、公衆電話は比較的通じる。

災害用伝言ダイヤル:今回の調査において、災害用伝言ダイヤルを利用したかどうかたずねたところ、利用した人は、仙台市で3.3%、大船渡市で1.0%、全体で2.1%と少数にとどまった。

宮城県沖地震の認知: 宮城県沖地震が切迫していると感じている人は両地域ともに高く、「非常に切迫している」と感じている人は2割強、「切迫している」と感じている人は55%に達する。

長期確率評価情報の認知: 「宮城県沖地震がこの30年以内に起きる確率は98%」と2001年に発表したが、「今回の地震が起こる前から知っていた」人は仙台市では55%いた。

長期確率評価情報への意見:長期確率評価情報については、確率表現はわかりにくいという批判があるが、住民はこの情報をさほど否定的には受け取っていないのである。

津波対応: 5月26日の地震発生時に、約3割の人が津波の危険性のある場所にいたが、多くの人は自分のいた場所が津波の危険がある場所であり、かつ、被害をもたらすような津波が発生するだろうと認識していたにもかかわらず避難しなかった。

④ 提言・結論

長期確率評価情報ならびに地震体験と地震対策の実施:5月の地震を体験し長期確率評価の情報を知って、4割程度の人がなんらかの地震対策をとった。全般には宮城県沖地震に備えての地震対策は押し上げられ、これをいかに維持し、向上していくかが、次の課題となる。

今後の津波対策:津波危険地域の住民は、大きな地震がおこったら、自分の判断で高台や高いビルにすぐ避難することの徹底が必要である。また、地震後1分以内に、マスコミや市町村が津波への警戒を強く呼びかけることが必要であり、防災行政無線から津波への警戒の呼びかけを自動放送するような地域防災計画を改定も検討されるべきである。