報告書 1995年阪神・淡路大震災調査報告 -1-
1996年3月1日発行
① 災害の概要
阪神・淡路大震災を引き起こした兵庫県南部地震(M7.2)は、1995年1月17日、明石海峡付近を震源として発生、この地震による死者は6000余名、ビルや家屋の全半壌、一部損壊および焼失は20万棟にも及び、高速道路の横転、鉄道や道路の橋梁部での橋桁の落下、大規模な液状化災害、さらには都市機能を支えるライフラインの断絶など、大都市複合災害であった。
② 調査の内容
芦屋市職員の参集行動:兵庫県芦屋市、芦屋市職員680人、アンケート調査、平成7年8月~9月、回収数及び回収率:342票(50.3%)
携帯電話の役割と問題点:地域在住のNTTドコモ関西携帯電話加入者、無作為抽出、自記式、郵送配付・郵送回収、1995年5月、調査対象数:1500、回収数・回収率:683・45.5%
③ 主な結果
兵庫県南部地震の地震像と災害の概要:7という震度階は、家屋の全壊率が30%をこえた場合であるが初めて適用された。神戸市灘区では、家屋の倒壊率が100%近くに達した地区さえあった。
阪神・淡路大震災と災害情報:被害の特徴は、「10万棟にも達する多数の家屋の倒壊」、「300件にのぼる火災の発生」、「近代施設が崩壊」、「初動態勢と被害情報の収集が遅れた」、である。
阪神・淡路大震災と住民の行動:被災地では、全半壊したマンションやビルも少なくなかったが、おびただしかったのは木造家屋の倒壊であった。
阪神・淡路大震災と芦屋市職員の参集行動:地震発生から参集にいたるまで、「身内の安否確認」が50%と最も多く、次いで、「自宅の整理補強」41%、「友人・知人の安否確認」20%などとなっている。「近隣の救出・消火・応急手当等」に携わったと答えた人は17%であった。
阪神・淡路大震災と災害弱者対策:障害者の死亡率は健常者より高く、また、家族が被害にあったため自立不可能となる場合もあった。重度の場合は非難行動もとりづらく、また、ペースメーカーや補聴器の充電不能などは大きな障害となった。
兵庫県南部地震時の携帯電話の役割と問題点:NTTドコモ関西では百数十の基地局のうち37局で障害が発生した。主な原因は電源の問題で、リセットをかけることで数時間から数十時間のうちに回復した。
阪神・淡路大震災と初動情報:地震発生時、番組中に地震発生を放送したのは一局だけでその他は気象庁経由で情報を知った形で放送した。「各放送局は当初電話による情報収集を中心に行っており、被害状況の報道が遅れた。
阪神・淡路大震災とラジオ放送:日本の放送メディアが体験した始めての大震災であった。
④ 提言・結論
発生時刻を変えたシミュレーションを:この大地震が、もし通勤・通学時間であったなら、日中に起きていたならば、あるいは夕方から夜にかけてであったならばなど、地震の発生時刻や気象状況をさまざまに変えたシミュレーションを試みることも重要ではないだろうか。
行政職員の災害時参集の課題:災害時の職員の参集・行政活動を効果的に行いうために、職員の家庭における安全(防災)対策の徹底、参集判断に資する情報の伝達、職員及びその家庭が被災した場合や被災現場に遭遇した場合の行動指針の明確化、市町村の枠を超えた広域的な初動体制の検討、などが必要である。
災害弱者対策の課題:災害対策機能に障害者や高齢者といった弱者それぞれの専門管理体制をおくべきである。災害弱者対策を考える上で対策領域を広げるべきである。弱者対策の実行面を考えると、支援団体の役割を位置づける必要がある。防災対策と福祉対策との関連も問題となる。
携帯電話の課題:今後の課題として、ハード面(特にバッテリー)、制度面(119番通報など)、ソフト面(使用方法PRなど)、ボイスメールの活用による災害時通信ニーズ代替の可能性、などがある。