報告書 高度情報社会と紙ゴミ問題

1993年12月1日発行

① 災害の概要

最近では、社内に環境対策室や環境課といった部門を設置する企業が増えてきており、現在その数は270社ほどあるといわれ、大手商社や製紙業界など、環境に負荷をかけているイメージを抱かれやすい企業では、とくにこの傾向が強いようである。こうした企業の環境対策セクションでは、たとえば(1)環境問題に対するデータ収集、(2)社内への最新環境情報のブリーフィング、(3)社内の環境基準の設定、(4)自社および関連企業の製品・商品のエコロジーチェック、(5)CMの環境・人権等への対応をチェック、公共広告の支援、(6)企業としての対外的環境貢献策の提案と、トップマネージメントに対する環境教育と研修プログラムの立案、(7)社員のボランティア活動の支援、などが業務として考えられるが、実際には明確で具体的なプランを持たないところも多い)。また、企業の対外的な宣伝として、その企業が環境に対ししてどんな立場をとっているかをアピールすることも行われるようになってきた。「地球にやさしい企業」あるいは「エコロジー企業」といったようなキャッチフレーズにみられる企業の環境PRである。消費者の環境に対する関心も大きくなり、企業製品・企業活動に厳しい監視の目が向けられるようになった現在では、自社がいかに環境保護について努力しているかを知らしめるのは一定の効果はあるものと思われる。しかし、多くの企業がこのPRを多用し始めると、かえって消費者の中には不信感が生まれることにもなった。そのため、「地球を守るために真剣な努力をしているにもかかわらず、自社に人々の目が向けられるのを恐れる企業まであらわれた」といわれる。

② 調査の内容

本調査ではOA化と紙ゴミの増加の関係を検証し、それに関連して企業のゴミの排出システム、環境問題についての意識などが調査された。郵送法、東京23区に本社をおく企業400社、回収数・回収率:101票・25.3%、平成5年2-3月

③ 主な結果

調査対象企業に対して、東京のゴミ問題の現状をどう考えるか質問したところ、非常に深刻だと答えた企業が63%、かなり深刻だという企業が33%となっており、深刻だという認識が圧倒的多数を占めた。こうしたゴミ問題の深刻化について、企業側と消費者側のどちらに責任があるかたずねると、両方に同じくらい責任があるという回答がもっとも多かった(60%)が、やや企業側の責任について重大に考えているようである。企業の紙ゴミの処理は企業側が経済的負担を負うべきとする回答がかなりの割合を占めた。

なお、紙ゴミの分別を行っているかどうかや、紙ゴミの最終処理の方法の違いによって、処理責任が企業にあると考えるか自治体にあると考えるかの見解に差がみられた。ゴミ処理について企業側が責任を負うべきだとする企業は、紙ゴミの分別を行い、また専門の処理業者に委託する割合が高くなっている。この結果は、企業の廃棄物についての意識がその企業における処理方法に反映しているとも考えられるが、逆に自社の処理方法についての責任を外部に帰属することにより合理化しているとも考えられる。

④ 提言・結論

 OA化が紙ゴミの増加に影響しているという仮説は直接的には検証できなかったものの、いくつかの間接的な証拠からその影響はほぼ確実といえると考えられた。また、OA化による紙の使用の増加の一方で、逆に、紙の使用の減少を支持する結果もみられた。自由回答で個々の事例を検討してみても、増加の事例と減少の事例がともにあり、OA化による紙の使用の増加と減少という両方向のカが働いているということかもしれない。さらに、企業規模によってOA化およびゴミの処理活動と意識に差がみられたのは注目すべきである。小企業と大企業を比較すると、一般に大企業のほうがゴミの排出システムが整備されている0具体的に言えば、排出システムについては、ゴミの分別、専門の処理業者の利用といったことである。大企業は、小企業にくらべてゴミの排出の絶対量は多いが、一方で環境対策が進んでいるので、結果的に環境への負荷は相殺されるかたちになっている。また、OA化も大企業の方が進んでおり、ネットワーク化の程度も高い。OA化は、現在ではどちらかといえば紙ゴミの排出を増加させる要因であるが、大企業ではネットワーク化など、より有機的なシステムが出来上がっているので、この点である種の抑制効果が働いているのかもしれない。