報告書 静岡県津波危険予想地域住民の津波意識と避難意向に関する調査

1991年6月1日発行

① 災害の概要

静岡県では10数年前から東海地震の発生可能性が指摘され、様々な対策がとられてきたが、近年、関心の低下が著しく、対策が停滞しているといわれている。静岡県下には津波災害に関する伝承が無く、津波に対する危険認知は行政やマスコミからの提供情報に多く依存している。このため、関心の低下は津波危険度や避難行動に対する正しい認識の欠如などの問題をもたらす恐れがある。

② 調査の内容

調査地域:沼津市、清水市、焼津市、吉田町、調査対象及び標本数:20才~69才の男女2,400名、標本抽出法:一段無作為抽出法、調査方法:郵送調査法、調査期間:平成3年3月1日~3月15日、回収数及び回収率:沼津市345(回収率57.5%)、清水市347(回収率57.8%)、焼津市376(回収率62.7%)、吉田町378(回収率63.0%)

③ 主な結果

過去の災害体験:約半数が大地震や津波の話を伝え聞いている。伝承内容は大地震の方が津波より2.5倍多く、揺れの状況、火災、避難、倒壊などが多い。運命論、人災論とも4割弱の人が同感と答え、災害対策の実施困難性については8割の人が同感と答えた。

東海地震の認知と受け取り方:東海地震を「よく知っている」と「多少知っている」を合せると98%に達する。地域差はほとんど無く、女性より男性が、高齢者、自然災害体験者、大地震や津波に関する家庭内伝承を受けた人、近所づきあいが深い人ほど「よく知っている」率が高い。関心度の時間的変化(2~3年前に比べて)は「関心が薄くなった」人が非常に多く、意識低下面での風化があらゆる層に共通している。東海地震説を「あまり信じていない」住民は14%、「信じている」は17%、2/3は「ある程度信じている」とあいまいな回答になっている。6割の住民が「それほど切迫していないと思う(6年以上先)」と答えており、切迫感は全般に薄い。

東海地震による被害予想:

「死ぬ恐れもあると思う」人が1/4、「大怪我をする危険がある」が約2割を占めている。女性、高年齢、居住年数が高い人ほど身の危険を高く考えている。5割の人が家を失うと予想している。

東海地震に伴う津波のイメージと被害予想:津波襲来時間の予想は「6~10分」が32%と最も多い。津波については様々な伝承があり、科学的に正しくないものがかなりある。津波被害防止対策で被害を「(完全に、ほとんど)防げる」と考えている住民は7%と非常に少ない。

地震・津波対策の実施状況:この1年間に家庭での話し合いがなされたのは7割を越す。内容は「地震時の避難」についてが最も多い。家庭で実施している地震・津波対策は「避難訓練参加」が最も多い。災害情報への接触では「パンフレットを時々読んでいる」「広報誌の防災に関する記事をよく読んでいる」人がかなりいる。

県・市町の地震・津波対策の認知と評価:「よく知っている」人は少ない。県・市町は「非常によく対策をやっている」、「まあよくやっている」があわせて60%であり住民が好意的評価を示している。

④ 提言・結論

・広報、系春活動の充実:特に20代以下の層の東海地震への関心、知識、理解度は低く、この層に対する広報の充実が必要である。広報のチャンネルとしては、マスメディアとの協力が重要である。加えて職場ルートの広報活動が望まれる。

・情感教育:記憶に残る、情感に訴えるような災害教育が必要である。

・実践的訓練の実施

(ア) 津波危険予想地域の階層化:危険地域の危険度を2段階程度に分けることも可能である。