報告書 1987年千葉県東方沖地震における災害情報の伝達と市町村・住民の対応
1989年1月1日発行
① 災害の概要
1987年12月17日関東地方南部に強い地震が襲った。「千葉県東方沖地震」である。銚子・勝浦・千葉で震度5を記録しとくに千葉県では死者2名、住家の全壊16棟、半壊102棟、一部破損71,212棟、道路の損壊1,832ケ所、河川の損壊176ケ所などとなっている
② 調査の内容
千葉県東方沖地震における千葉県内市町村の対応:昭和63年4月、80市町村の防災担当者に対し郵送法によって実施したものである。回収率は57(回収率71.3%)であった。
千葉県東方沖地震における千葉県民の心理と行動:61年12月末,市原市・長生郡長南町・同郡長生村の3地域,調査対象者は地震時に当該地域にいた成人男女300名ずつの計900名。
③ 主な結果
千葉県東方沖地震における災害情報の伝達:
都道府県防災行政無線の輻輳:都道府県と市町村の間には「都道府県防災無線」があり、情報伝達にこれが活用されているが周波数がかぎられているため混雑してしばしば輻輳が生じる。
一般加入電話の輻輳:人々が一斉に電話に殺倒したことによる異常輻輳が問題で、千葉県内の電話局では地震発生直後から輻輳が発生しその状況が長期間継続した。
ラジオの効用:地震直後から千葉県内の21の配電用変電所が送電をストップしたため茂原市などおよそ30万世帯が一時的に停電したが、ラジオへの依存が強くなっていた。
千葉県東方沖地震における千葉県内市町村の対応:
災害対策本部の設置:今回の地震において「災害対策本部」を設置した市町村は21%とほぼ5分の1であった。
地震時の情報収集:地震情報や津波注意報など気象官署が発令する情報は本来都道府県を経由して伝達されることになっているがもっとも早く入手した経路は地震情報の場合には「NHKテレビ」が51%と圧倒的に多く次いで「NHKラジオ」(23%),「千葉県」(19%)の順になっていた。
地震時の通信手段:地震時に使用した通信手段は、一般加入電話(91%)と都道府県防災行政無線(83%)の使用率が圧倒的に高く、市町村防災行政無線移動系(58%),職員の口頭伝達(51%),市町村防災行政無線固定系(49%)の順になっていた。
地震時の広報活動:地震当日、住民への広報活動を行った市町村は70%と非常に多数だった。広報活動の内容としては,気象官署から通知された「地震情報・余震情報」(60%)や「津波注意報」(58%)の広報がもっとも多く、次いで「火の始末などの呼びかけ」(53%)や「山崩れ・ガケ崩れへの注意」(28%)など二次災害の防止広報となっていた。
④ 提言・結論
千葉県東方沖地震時の災害情報:特徴的な問題として、都道府県防災行政無線の輻輳、一般加入電話の不通、災害時優先電話の通話困難、ラジオの効用、の4点をあげることがでる。
防災対策の問題点:情報関連の反省点が多く「防災行政無線など通信機器の整備」、「情報収集体制や広報体制の整備」、「輻鞍対策」、「夜間や休日の通信連絡体制の確立」、「職員の情報通信訓練」など非常に多岐に及んでいた。
国や県への要望:「液状化対策」や「ブロック塀対策」など今回の地震被害と密接にかかわる要望、とくに市町村が防災対策を実施するうえで必要な補助金などの増額を求める意見が多かった。