報告書 情報化の地域間格差と情報行動

1989年1月1日発行

① 災害の概要

 情報化社会の時代を迎えようとしている現時点において、情報化の進行状況を、個人の情報行動のレベルで把握するため、ニューメディアが個人の着生活領域にどの程度まで浸透しているのか、ニューメディアの出現や普及が従来までの情報行動にどのような影響を与えつつあるのか、また、情報化の進行状況の地域間格差の状況などが調査された。地域の情報化が、電気通信メディアの普及と有効利用によって経済的・文化的地域差の解消を計ろうとするものでありながら、現実には、地域情報化の不均等進展により、情報環境の地域間格差は一層拡大することが予想される。

② 調査の内容:

新潟市、和歌山市、熊本市、15歳-64歳までの男女、各市300人、住民登録票より無作為抽出、個別面接法、昭和62年3月6日-14日、回収数(回収率):新潟市247(80%)、和歌山市229(76%)、熊本市237(79%)

③ 主な結果

 東京より「進んでいる」という評価が高かったのは「地域の交流がさかんなこと」(28%)というコミュニティ・コミュニケーションにかかわるものだけであり、逆に、「だいぶ遅れている」という評価が高かったのは、「いろいろな大孝や専門学校の教育が受けられること」(58%)、「催しものやコンサート、演劇・展覧会などがたくさんあること」(56%)、「専門的な知識や情報をもっている人がたくさんいること」(35%)などの専門的・文化的情報であった。

 新潟・和歌山・熊本の3市の住民は、「アクセス格差」、「情報コスト格差」、「情報内容格差」、「地域情報格差」のいずれについても東京より遅れていると考えていることがわかった。とくに、情報の「アクセス」面にもっとも大きな格差を感じている。次いで、格差感が大きかった順にいうと、「情報内容格差」「情報コスト格差」「地域情報格差」となっていた。これら3地域の住民の情報格差感は、各種の情報接触の機会がないことにもっともはっきりと現われ、情報コストに関してはさほど大きな格差を感じていないといえよう。

 この情報格差感を地域別にみると、かなり大きな相違があった。すなわち一般的傾向として、格差感はいずれの項目についても和歌山〉熊本〉新潟となっており、和歌山市民の格差感がもっとも大きくなっていた。このことは、情報格差感を生み出す要因は大都市からの距離(この点では熊本市がもっとも遠い)というよりも、むしろ当該地域の情報化への取組みの遅れ(和歌山市がもっとも遅れている)にあることを示唆するものと考えられる。

④ 提言・結論

 到来する情報化社会が、各種ニューメディアの大いに普及した社会であるとするならば、個人の行動のレベルでの情報化とは、ニューメディアを利用した情報行動が一般的になるということであると考えられる。本調査研究の対象地域である新潟市、和歌山市、熊本市は、地域の情報化に対する自治休の姿勢の遠いから、現在においても、情報環境にかなりの格差が生じているが、このことは、人々の情報行動にもかなりの影書を与えつつあることが明かにされた。例えば、ニューメディアへの知名度や使用経験、情報機器の所有状況は、地域情報化の進展状況を反映しているし、ニューメディアや新しい情報提供システムへの利用希望も、地域情報化の最も進んでいる熊本市において高く、地域情報化後進県の和歌山市で最も低くなっている。

 情報環境の地域間格差が一層拡大されるにつれ、個人の情報行動の情報化も、地域差がますます大きくなると思われる。個人の情報行動が、直接面談型の第Ⅰ種情報行動から従来のメディア利用の第Ⅱ種情報行動へ、第Ⅱ種情報行動からニューメディア利用の第Ⅲ種情報行動へと移行していくという想定は、余りにも単純すぎるものであろう。調査結果の一部から判断すると、第Ⅰ種と第Ⅱ種の情報行動でさえ、相互に代替的というよりも補完的ないし相乗的な関係にある場合が少なからずみられ、行動領域によって第Ⅰ種と第Ⅱ種の情報行動が使い分けられたり、あるいは両者とも使われるという場合も多いこうした関係は、第Ⅰ種、第Ⅱ種情報行動と、第皿種情報行動との閤にも予想されることであり、この3種類の情報行動間の関係を明らかにすることが、今後の課題として残されている。1989-01-01