報告書 東海地震と清水市民

1986年3月1日発行

① 災害の概要:予想される東海地震

② 調査の内容:

静岡県清水市、上記地域内に在住する20歳以上の男女800名、選挙人各簿より層化二段抽出法、個別面接調査法、昭和60年8月22日~30日、回収数(回収率)712票(89.0%)

③ 主な結果

東海地震への関心:東海地震に一番関心がある人が36.7%、2番目が14.3%となっており清水市民の半数はかなり強い関心をもっていた。10年前にくらべて東海地震への関心が強くなったと答えた人が28.2%、逆に弱くなったと答えた人が19.8%で全体として地震関心は強くなっている。

東海地震説への信頼:「近い将来東海地域でマグニチュード8程度の大地震が起こる可能性がある」という東海地震説を現在も信じている人は13.5%、ある程度信じている人は63.9%にのぼる。

東海地震への不安:東海地震について47.7%が不安を感じていた。それほど不安を感じていない人が47.6%、まったく平気だという人が3.5%おり、不安を感じていない人がいくぶん多かった。

日頃の防災対策:建物・塀などを補強・改修している人は16.6%、していない人は82.2%である。家具類の固定・整理をしている人は27%、していない人は73%だった。ヘルメットや防災頭巾を用意している人が47.2%、用意していない人が52.8%となっている。非常持ち出し袋を用意している人は62.5%、用意していない人は37.2%だった。

防災訓練への参加:過去1年間に地震防災訓練に以前よりも熱心に参加している人は10.5%以前と同じという人が55.5%、以前よりも参加しなくなった人が9.4%、以前も今も参加していないと答えた人が24.6%であった。

警戒宜言への信頼度と意見:警戒宣言の防災効果を高く評価する人が70.6%、悲観的な人が14.0%、否定的な人が12.6%であり、圧倒的に多くの住民が警戒宣言の防災効果を積極的に評価していた。警戒宣言の空振りの可能性をたずねたところ、これを全面的に信頼している人が14.5%、必ずしも全面的ではないがかなりの信頼を置いている住民が59.6%、比較的信頼度の低い人が24.6%となっており4人に1人が空振りの可能性があると考えている。

空振りに対する意見とその後の対応:①「警戒宣言は空振りを恐れず積極的に出すべきだ」、②「警戒宣言は地震が起こる見通しが確かになるまで出すべきではない」という意見のどちらに賛成するかをたずねると、①に賛成の人が70.9%、②が17.6%と、空振り容認派が多数を占めていた。

緊急警報放送システム:「よく知っている」人は11.5%ときわめて少なく、「聞いたことはある」人が17.6%であり、「知らなかった」という人が70.6%と大多数を占めていた。

受信機購入意図:緊急警報放送システムの受信機をすぐにでも買いたいという人は12.9%と比較的少なく、圧倒的多数(68.0%)の住民はしばらく様子をみてから買いたいと答えている。

地震後の生活:東海地震によって自宅が居住不能となりかつライフラインが回復するまでに相当長期間がかかるという前提でその後の暮しをどうするかについて質問したところ、これを機に清水市から移転するという人が3.4%、親もとや郷里に一時疎開する人が11.2%、そして県や市に依頼して疎開先を探す人が4.1%であり、清水市から移転ないし疎開すると答えた人をあわせると19.7%となった。残りは残留意志のある人であるが、このうち、県や市が設ける避難所にとどまる人が24.3%、焼けあとにバラックを建てて暮す人が20.2%となっていた。

④ 提言・結論

昭和51年に東海地震説が初めて社会的にも公にされて以来10年に近い歳月が経過した。以後、「大規模地震対策特別措置法」にもとづき、東海地域を中心とする地域住民の防災意識は非常に高揚されたように見える。しかし、その後も平穏無事な日々が続き、東海地震を予感させるような前兆現象もほとんど認められていない。地域住民は当初に比べて心理的緊張が弛緩し、東海地震に備える対策において後退がみられるのであれば今後の対応策を考える必要がある。