報告書 2003年7月「宮城県北部を震源とする地震」における住民の対応と災害情報の伝達

2004年3月1日発行

① 災害の概要

2003年7月26日宮城県北部を震源とし、午前0時にM5.5、午前7時にM6.2、午後5時にM5.6と、1日に3回連続して起こった。揺れの割には比較的軽微だったという意見もあるが、負傷者が700人弱、全壊家屋も1200棟を超えており、けっして小さいものではなかった。

② 調査の内容:

調査対象地域:宮城県南郷町、矢本町、鳴瀬町、調査対象者:世帯主、調査方法:調査員配布・郵送返送法、対象者の抽出:エリアサンプリング法、配布数:800サンプル、有効回収数:550、調査期間:平成15年9月5日~平成15年9月28日

③ 主な結果

被害と気象庁震度階級の適合:気象庁の「震度階級関連解説表」が、今回の地震における人間行動や被害状況をどのくらい的確に反映しているかを調査した。

住民の行動:2度目の地震(本震)では「ほとんど動けなかった」という人が46%と最も多かった。地震の後、前震では10.2%、本震では27.5%の人が家から他の場所へ避難していた。

通信行動:今回の地震で困ったこととして住民が最も多くあげたのは「電話が使えなかった」であった。固定電話が「全く利用できなかった」人が46.3%、携帯電話の音声がつながらなかった人は36.3%であった。

情報ニーズと放送への評価:本震直後に情報ニーズは、「今後の余震の可能性やその規模」(86.1%)でもっとも高く、「今回の地震についての震源地や規模などの情報」(68.6%)、「自分の住む地域にどんな被害が起こっているかについての情報」(60.9%)、「道路、通信、電気、ガス、水道が大丈夫かといった情報」(52.5%)の順だった。

余震情報への態度:本震直後の午前9時に発表された余震情報は70.9%の人が知っていたが、「最大震度6弱の発生する確率は10%未満」について51.7%の人が発生確率は低いと感じた。

地震の連続と地震対策:5月の地震を体験して40.1%の人がまた大きな地震がくると考えていたが、将来の地震に備えて何らかの防災対策を行った住民は3割(31.9%)にとどまっており、地震で対策が飛躍的に進んだとはいえない。

④ 提言・結論

自治体の対応と課題:南郷町では屋外拡声器型の同報無線があり、地震直後職員の招集や住民への知らせに活用している。鳴瀬町でも屋外拡声器型の同報無線があり、同様な活用を行っている。矢本町だけに戸別同報があり、「お知らせ」的な細かい情報も流せたようである。深刻だったのは、各町ともマスコミの取材被害であった。マスコミからの電話の殺到で、役場の電話がふさがれ、町民や外部の職員からの電話がつながらなくなるとか、マスコミ対応に役場の人的資源がさかれてしまうなどの点が問題となった。一方、町側としても、地震直後のクリティカルな時期に、町がまず何をなすべきかの優先順位をつける必要がある。

放送局の対応と課題:災害放送として、被害の全容を伝えることが中心になり、被害情報から生活情報という放送パターンにならなかった。人口100万を超える仙台市を主なサービスエリアとする放送局にとっては、限られた被災地のニーズを集中的に取り上げていくのは難しかったようである。また、取材のあり方も問われ、自治体の緊急活動を阻害しないように取材をする必要がある。