報告書 2000年東海豪雨災害における災害情報の伝達と住民の対応
2003年12月1日発行
① 災害の概要
2000年9月11日東海地方に観測史上最大の集中豪雨が発生した。愛知県東海市で1時間雨量114ミリを観測した。名古屋市西区あし原町で庄内川が100mにわたって決壊した。庄内川流域全体で1万8,000棟が浸水し、死者10名、負傷者98名、全壊27棟、半壊77棟、床上浸水27,180棟、床下浸水44,111棟にのぼっている。被害総額は約8,500億円。
② 調査の内容:
実施期間:平成13 年2 月24 日(土)~ 平成13 年3 月5 日(月)、調査対象地域:愛知県新川流域、調査対象者:西枇杷島町・名古屋市西区の20 歳以上、調査方法:面接調査法、対象者の抽出:住民基本台帳より無作為抽出、有効回答数:571、回収率:71.4 %
③ 主な結果
名古屋地方気象台の対応:愛知県および名古屋市の防災担当者へ電話で連絡し、また被害情報をFAXで受信し、ほぼ2 時間おきに全般気象情報を発表し報道機関を通じて警戒を呼びかけた。
行政機関(名古屋市)の対応:大雨・洪水警報を受けて、11日災害対策本部を設置し、各区役所では市民からの連絡対応を図ると同時に浸水によって避難困難な市民の救助活動を行った。
河川管理者の対応:名古屋市の6 区市町村において、避難勧告が発令され、河川管理者から愛知県災害対策本部(消防防災課)を経由して、市町村に伝達されるが1時間半の遅れがあった。
報道機関の対応:情報発信者が思うほど報道機関がその情報の緊急性や重要性を認識して放送していなかった。避難勧告など一般市民への伝達を報道機関に頼る部分があった。
水害時の住民の情報行動:マス・メディアから情報を得ようとした人が多く、次いで「外に出て、雨や浸水の状況を調べた」人が多かった。通信に携帯電話と固定電話を利用した人は多かった。
水害時の住民の避難行動:多くの人は避難勧告を直接的に受けた後に避難行動をとりはじめ3割程度の人が危険を感じた状態で避難を行っていた。
避難・その他:避難した人の6割程度が指定避難所に避難し、3日以内に帰宅した。避難先では、食料不足、風呂・トイレ当衛生環境などの問題があった。
日頃の防災行動:市民は自分の居住地域が水害の危険地域だと自覚している。西区住民は、西枇杷島町住民ほど防災対策に対して積極的ではない。
防災対策への要望:総合的な治水対策を全国的に充実して欲しい、防災行政無線の整備と状況説明、安心して避難できる場所、避難道路や夜間照明の整備、より詳しいハザードマップ、など。
c) 今後に向けた新たな取り組み
名古屋市の取り組み:名古屋市では、緊急雨水整備計画の実施を行っている。2000 年12 月に「防災情報収集伝達システム調査検討委員会」を設置し、定点観測システムの構築などを行っている。
河川管理者の取り組み:国土交通省(中部地方整備局)と愛知県では、平成12 年度から5ヶ年計画、総額610億円をかけて、庄内川と新川を一体として考えた治水工事を実施していくとした。
防災気象情報の改善の取り組み(気象庁):警報発表予報区( 二次細分予報区) の見直しの推進、防災気象情報の内容等の改善、防災情報提供装置の活用、防災情報提供装置の活用など
④ 提言・結論
今後の防災対策の課題:地域住民からの災害情報の収集・問い合わせ対策、地域への情報伝達、報道機関との情報連携、防災関係機関同士の情報連携、地域コミュニティ・意識啓発など
今後の取り組み:地域や住民からの災害情報の収集システムの構築、情報の共有化に向けて、住民に対する情報伝達手段の整備、地域コミュニティの活用、日常における防災意識啓発