報告書 自然災害特別研究研究成果 災害の及ぼす社会的影響

1986年3月1日発行

① 災害の概要

長崎水害:昭和57年7月23日集中豪雨が発生し、長崎県一帯に被害を及ぼした。長崎市の死者・行方不明者総数は262人、負傷者は重傷13人、軽傷741人

久慈火災:昭和58年4月27日久慈市長内町の林野から、火災が発生し、死者・行方不明者はゼロ、負傷者4名。山林被害7億円、漁業被害が6億円、建物被害が5億円被害総額は21億4千万円。

日本海中部地震:昭和58年5月26日秋田県沖西方90キロを震源とするマグニチュード7.7の地震が発生した。この地震は東北・北海道に被害を与えたが、津波が日本海沿岸に来襲し100人の死者を生じた。被害総額が35億9,917万円にのぼる。

三宅島噴火:旺和58年10月3三宅島雄山が突然噴火した。流れ出した溶岩は阿古地区集落に至った。マグマ水蒸気爆発が起こり被害総額は255億円にのぼった。

② 調査の内容

基本的に定量分析が可能な資料の収集に努め、市町村役場などへの聞き取り調査と資料収集を実施し、各種統計資料の分析を行ない、各地区の被害地区でアンケート調査を実施した。

③ 主な結果

長崎水害:調査対象世帯のほぼ半分が家屋被害を受けており被害額は平均524万円であった。42%が水害後仕事や営業を休んでおり、再開までに要した期間は平均65.3日であった。水害後の収入は以前と変わらない世帯が40%、以前より減った世帯が15%であった。水害が商工業に与えた影響はきわめて大きく水害後売上が減少した商店は61%、水害後の経営状態が減益になった商店が66%、水害後1年間の決算が赤字の商店が62%となっている。

久慈火災:火災による家屋被害は被害世帯の20%であり、被害世帯が要した再建費用は平均1、204万円となっていた。火災による家屋以外の被害額は平均660万円であった。被害を総合して被災世帯1世帯あたりの被害額を算出すると平均961万円であった。火災後仕事を休んだ世帯は59%で、仕事を再開するまでに要した期間は平均126日であった。火災後の収入の変化は、以前と変わらないという世帯が51%、以前より減少した世帯が28%だった。

日本海中部地震:11%が家屋被害を受け、住宅再建費用は平均585万円であった。商品・漁具・自動車などの被害は平均676万円であり、これらの被害を総合し被災世帯1世帯あたりの被害額を算定すると平均778.4万円となっていた。日本海中部地震の後の休業期間は調査対象世帯のうち地震後仕事や営業を休んだ世帯が35%でありまた仕事を再開するまでに要した期間は平均452日である。地震後の世帯収入が増えた世帯はゼロ、減った世帯が29%変わらない世帯が38%である。

三宅島噴火:三宅島噴火の家屋被害は、住宅全壊世帯が56%、一部破損世帯が1%と半数以上が被害を受けている。建築費用と家屋以外の被害を合わせ1世帯あたりの被害総額を算出すると平均1、831.9万円となった。調査対象世帯のうち噴火後仕事や営業を休んだ世帯は41%であるが、営業再開までに要した期間は平均148日となっていた。三宅島噴火後の世帯収入の変化については変わらないという世帯が最も多く41%を占めているが、減少した世帯も28%にのぼっていた。

④ 提言・結論

・ これらの災害を比較すると経済的・社会心理的影響は大きいほうから三宅島噴火〉長崎水害〉日本海中部地震〉久慈火災の順になっている。

・ 三宅村や長崎市では市町村内に占める被災者および被災事業所の比率は、八森町、久慈市にくらべて相対的に多く、しかも被害の程度が大きかったため、このことが社会的影響を深刻なものにしている。