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東京大学 大学院情報学環 総合防災情報研究センター

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第33号(2016.09.01)

CIRIR Report

緊急地震速報の予測震度の精度を検証する(その2)

  我々は、過去の緊急地震速報(以下EEWと略記)で震源予測精度の高かった地震を対象に、全国のK-NET観測点における予測震度と実際の観測震度との差を求めて予測震度の精度の分析を試みている1-3)。昨年の報告(目黒、本NLのNo.28)では、震源を確定震源にした場合の予測震度と観測震度の差を評価して、予測震度が計測震度で平均0.6ほど過大であることを示した。しかしこの時は、震度予測手法の適用範囲が震度4以上であることを考慮していなかったため、改めて、予測震度や観測震度が震度4以上の場合のみを用いて誤差の平均と標準偏差を求めることにした。用いた地震と観測点は昨年の報告と同じもので、2009年1月から2013年6月までの間に発生し、緊急地震速報の震源予測精度の高かった233地震(但し今回は東北地方太平洋沖地震を除く)の、計測震度0.5以上が観測された全国1,029ヵ所のK-NET観測点である。

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図1 K-NET観測点の観測震度(横軸)と予測震度(縦軸)の関係例

データの選択

 

震度が下限K以上のデータのみを用いて誤差の平均と標準偏差を求めるときは、どのようなデータを選択するかが重要となる。一例として図1に、2011年4月11日 17:16の福島県浜通りの地震(M7.0)のときのK-NET観測点における観測震度(横軸)と予測震度(縦軸)を示す。このとき、(A)予測震度が下限K以上の場合、(B)観測震度が下限K以上の場合、(C)観測震度も予測震度も下限K以上の場合の三種類のデータの選択方法があることがわかる。

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図2データ選択方法による誤差の平均と標準偏差の違い(下限Kの値を0.5から4.5まで変化)

誤差の平均と標準偏差

 

図2に、この三種類のデータ選択方法の違いで、誤差の平均と標準偏差がどうなるかを、下限Kを0.5から4.5まで変化させながら示す。
 特に震度4(K=3.5)以上の場合について見ると、(C)では0.0±0.45で予測震度は観測震度とほぼ同じになるが、(A)では+0.46±0.62で予測震度が観測震度より過大に、(B)では逆に‐0.40±0.62で予測震度が観測震度より過小になり、データ選択方法により評価結果が大きく異なることがわかった。
 震度予測手法の精度を検証するには、データに偏りのない(C)を利用するのが望ましい。一方で、EEWを受信した時の予測震度の精度を検証するには、予測震度が震度4以上の全観測点、すなわち(A)を利用する必要がある。図2の(A)によれば、EEWを受信した時の予測震度は、観測震度に比べて平均0.46ほど大きいことがわかる。

 

参考:
1) 西口、社会基盤学専攻修士論文、2015年3月
2) 西口・目黒・鷹野、日本地震工学会大会2015
3) 西口・目黒・鷹野、日本地震工学会大会2016(投稿中)

鷹野澄・目黒公郎