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東京大学 大学院情報学環 総合防災情報研究センター

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第32号(2016.06.01)

特集:熊本地震

住民調査に見る連続地震と人的被害並びに家屋の倒壊

 熊本地域では、4月14日21時46分にM(マグニチュード)6.5の地震が発生し、同日22時07分にM5.8、15日00時03分にM6.4とM6クラスの地震が相次ぎ、そして16日01時25分にM7.3の地震が発生した。M6.5を超える地震が発生した後にそれを上回る地震が発生することは異例であり、災害情報的には地震発生後の強い地震への警戒をどのように呼びかけるべきかという難しい課題を残したと言えよう。
 ただこの14日の地震があったことで、16日の地震による人的被害を減らした可能性が高い。図1に、本センターが監修したSRC(サーベイリサーチセンター)の自主調査による家屋の倒壊率を建築年代別に示した。この図から、16日の地震で家屋の倒壊が多かったこと、なかでも昭和56年以前の旧耐震で35.0%と被害が大きかったことがわかる。このことは、もし16日のM7.3 の地震時に自宅に多くの人が居たなら人的被害はさらに大きくなっていただろう。SRC調査によれば、4月14日に発生した地震時には、晩ということもあり、会社や学校に居た人(4.3%)や移動中だった人(4.0%)などもいたが、自宅に居た人が87.2%と大半を占めた。一方、4月16日に発生した地震時には、余震が続く中、自宅に居た人は22.0%に留まった。町が指定していた避難所に28.7%、知人宅に11.3%、また車中避難を含む自宅敷地内の屋外に13.1%、指定避難所周辺の屋外に8.9%、指定以外の公園等の屋外に9.2%と31.2%が屋外にいた。
 図2に、人的被害を受けたと回答した比率を示した。SRC調査によれば、14日の地震では旧耐震建物の居住者の21.4%、新耐震建物の居住者の7.8%が「けがなどの人的な被害があった」としている。それが、16日の地震では、旧耐震で5.7%、新耐震で1.7%へと大きく減少していた。
 これらの人的被害を受けた人について地震時に居た場所をみると、14日の地震時に人的被害を受けたとした38人のなかで自宅に居た人は34人で89.5%を占めた。自宅が倒壊しなかった人では11.7%であるが、倒壊した人では27.3%に達している。それが16日の地震時には、人的被害のあった12人中、自宅に居た人は3名でいずれも自宅は倒壊していない人だった。回答者以外も人的被害については家族も含むため、回答者の居場所と人的被害の発生場所とは必ずしも等しくならないが、傾向に大きな違いは生じない。
 地震の規模としては16日の方が大きかったこと、したがって図1の通りに家屋の倒壊は16日の方が2.4倍多かったにも関わらず人的被害があったとした回答者が3分の1に減っていることは、避難をしていたことが幸いしたものと考えて良いだろう。
 4月末の調査時点で、今後の当面の住まいにかんして、23.9%が「仮設住宅に入居したい」、8.9%が「みなし仮設に入居したい」と合わせて3分の1近くに仮設要望が見られた。また、これらの人たちの28.0%が「半壊や一部損壊でも入居させてほしい」と回答している。過酷な避難所の状況や余震の発生状況を鑑みれば、多様な復興プロセスに対応した柔軟な施策運用が求められる。
 「被害-避難所-仮設住宅-災害復興公営住宅」という現状の1本途を弾力的に運用することで、被害を受けた住宅のうち、補修によって利用可能なものの有効活用などを通して、災害復興公営住宅需要を抑制したり、災害後の希少資源である公地を活用したりすることを検討すべきだ。 
   

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田中 淳