newsletter18号テキスト5

東京大学 大学院情報学環 総合防災情報研究センター

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防災コラム

M9級地震の頻度は?

過去17年間に日本周辺で起きた地震数は158万個、一日あたり280個になる。もちろん、大部分は有感にもならない小さな地震だ。マグニチュード(M)と地震数N(M)の関係は、片対数グラフで直線上に乗る(グーテンベルク・リヒター則)。これは、小さな地震から大きな地震まで階層性・自己相似性を持った一つの仲間であることを意味している。直線の傾きはおよそ-1、すなわちMが1大きくなる毎に地震数は1/10づつ減っていく。
 ここで「M7級」地震を6.7≦M<7.7と勝手に定義すると、その数はグラフから年間平均4個と読める。同様に、M6級地震は年間31個、M8級地震は年間0.5個起きていたことになる。大胆に直線を延ばしてM9級地震の数を考えると、年間0.066個という数字になり、15年毎にM9級地震が起きることになってしまう。これはどこかおかしい。
 『日本書記』に最初に地震が記されたのは西暦416年。それ以来、1,600年の歴史の中でM9級地震は2011年東北地方太平洋沖地震だけだ。もちろん、昔の地震の規模はよくわからないが、1707年宝永地震(M8.6)と869年貞観地震(M8.6)を加えたとしてもわずかに3個。年間0.0018回(平均間隔555年)は先の予測値より一桁以上小さい。おそらく、M9級地震はM7級やM8級地震の延長上にはない、特異な発生原因を持つものなのだろう。M8地震とM9の地震の間は存在せず、東北地方太平洋沖地震のように震源域が大きく拡大して、さらに一線を越えて海溝寄りの津波地震の領域を浸食したような場合に限ってM9級地震に大化けするのかもしれない。そもそも、地理的に考えても震源域が何百kmにも広がるM9級地震が起きうる場所は限られる。
 きわめて低頻度だが高リスクのM9地震には、従来のM7~8級地震とは別の評価が必要になるだろう。

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(古村 孝志)