newsletter20号テキスト4

東京大学 大学院情報学環 総合防災情報研究センター

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特集:レベル化が進む災害情報

土砂災害への警戒の呼びかけに関する検討について

1 土砂災害への警戒を呼びかける情報の現状


1) 土砂災害への警戒を呼びかける情報
 これまで、国土交通省及び気象庁では、土砂災害への警戒を呼びかけ、避難を促す手法を検討してきており、最近では、市町村長が行う避難勧告等の判断や住民の自主避難の参考となるよう都道府県砂防部局と気象台が連携し、「土砂災害警戒情報」の発表を開始(平成20年までに全都道府県で発表を開始)した。


2) 土砂災害に対する安全確保行動の現状
 調査によると、避難勧告等は必ずしも土砂災害の発生前に発令されておらず、十分な時間的余裕を持って安全確保行動を促せていなかった。この理由として、土砂災害のように発生の危険度が目で直接見えない現象において避難勧告の発令等を客観的に判断することは、土砂災害警戒情報等の現状の防災気象情報だけでは難しく、土砂災害の危険性に対する主観的な評価や、周囲での土砂災害発生等の情報による場合が多いことがわかった。


3) 土砂災害への警戒を呼びかける情報の課題
 土砂災害の危険な場所や時間をより絞り込めるような工夫とともに、目に見えない土砂災害の危険度を、災害発生情報等を活用して、より緊迫感が伝わる情報とする必要がある。また、警戒を呼びかける情報の認知性を考慮して、分かりやすい一連の体系となるよう改善が必要である。

2 土砂災害の発生に関する検知等の技術的な取り組み


1) 土砂災害発生情報の収集状況
 土砂災害発生情報は、各都道府県から国土交通省への災害報告として伝達されるが、特に被害が大きい場合には、被災者の救助活動等を優先するため、実際の被害発生時刻から数時間から数日程度のタイムラグが発生しており、現状では、避難行動に結びつけることは難しい。


2) 土砂災害発生及びポテンシャルの把握技術
 斜面崩壊や土石流の発生を把握する情報として、斜面崩壊検知センサーや土石流検知センサー等がある。また、国土交通省では、大規模な崩壊を広域監視する大規模崩壊監視警戒システムの導入を進めている。これらの情報に加え、土砂災害警戒区域等の土砂災害の潜在的危険性とともに、ライフライン事業者の施設管理情報や、SNS等の情報を総合的に解析する技術開発が必要である。

3 土砂災害への警戒の呼びかけ方の改善の方向性

 国土交通省と気象庁は、前述の課題等を踏まえ、今後の土砂災害への警戒の呼びかけ方として以下の提言を取りまとめた。

 ・わかりやすい情報体系の構築
 ・災害の発生に関する情報や記録的な大雨の観測実況の活用
 ・土砂災害警戒区域などの地理情報との連携
 ・情報と対応して取るべき行動によるレベルを用いた表現の導入

 以上を踏まえ、これまでの注意報、警報、土砂災害警戒情報がそれぞれ発表される状況に、土砂災害発生ポテンシャルの高まった状況、土砂災害発生が確認又は推定される状況を加え、下表の通り、5段階のレベルに整理した。



表 発表レベルと行動の対応

レベル 状況 意味
情報※
行政側の反応例  住民の行動例
5 土砂移動・
崩壊発生
・災害発生通報または、センター等により土砂移動・崩壊が発生したおそれがある場合
・大規模土砂移動検知システムの判定資料を土砂災害の専門家が判断した結果、大規模または広域で土砂移動・崩壊が発生したと推定される場合 
土砂災害
発生警報 
発生箇所及び
周辺地域の
避難指示 

発生場所隣接地域は
直ちに垂直移動
もしくは退避 

4 記録的な大雨・
山地洪水等の
発生 
・記録的な大雨の観測や山地での流況の変状などから土砂移動・崩壊の発生ポテンシャルが高まったと判断される場合 土砂災害
警報2 
避難指示
避難していない人への
至急の避難(退避)の
呼びかけ 
水平移動(長期的)が
困難な場合は
水平移動(一時的)
発表までに
避難勧告への対応完了 
3 CLの超過を予想 ・CLの超過を予想(現行の土砂災害警戒情報) 土砂災害
警報1
避難勧告 水平移動(長期的)が
困難な場合は
水平移動(一時的) 
2 CLに到達する
1時間前の状況になると予測
・CLに到達する1時間前の状況を予想(現行の大雨警報(土砂災害)) 土砂災害
注意報2
避難準備情報
避難所の開設
自主避難の呼びかけ 
避難先に連絡、貴重品の持ち出し準備、自己判断での避難開始
1 1~2日内に土砂災害が発生する気象状況 ・1~2日内に土砂災害が発生する気象状況(現行の都道府県単位での予告的情報) 土砂災害
注意報1 
注意体制、待機、
消防団や自治会と調整 
TVで気象情報に注意

※情報の名称については別途開催中の「防災気象情報の改善に関する検討会」での議論等を踏まえて検討を進める予定



 具体的な避難行動を整理すると、レベル3:危険な地域から外への避難、レベル4:近隣の堅固な建物など安全を確保できる場所へ避難、レベル5:自宅内の山側とは反対側への待避や2階への垂直移動、となる。国土交通省及び気象庁は、今後、土砂災害への警戒の呼びかけ方の改善に向け、技術開発を進めるとともに、体制及び制度を整理することとしている。

(越智 英人~国土交通省砂防計画課企画専門官~)