住民の不安に対応した地震ハザードマップ

防災コラム 

三宅弘恵
2019年6月1日

南海トラフ地震対策では半割れや一部割れのケースが例示されているが、推移に月日を要する場合、どのような情報が有効なのか? 参考として、米国で2016~2018年に毎年公表された住民の不安に対応した地震ハザードマップを紹介したい。当時、シェールガス等の石油資源の掘削に伴う注水によって、人工地震が多数誘発され、オクラホマ州は突如米国で地震活動度が最も高い地域となった。これを受けて、米国地質調査所USGSは住民の不安に対応すべく、最新知見を結集して地震活動予測に基づき地震ハザードマップを毎年更新・公表した。誤解を招かぬよう、マップに切り目を入れて自然地震と人工地震の影響を明示する工夫も行った。その後、注水は緩和され地震活動は減少しているが、科学的見地にたって淡々と公表されたマップに、研究機関のあるべき姿を垣間見ることができる。

USGS(2016)