コラム No.1

東京大学 大学院情報学環 総合防災情報研究センター

cidir_logo2012.jpgcidir_logo2012.jpgcidir_2012gmanu00.jpgcidir_2012gmanu01.jpgcidir_2012gmanu01.jpgcidir_2012gmanu02.jpgcidir_2012gmanu02.jpgcidir_2012gmanu03.jpgcidir_2012gmanu03.jpgcidir_2012gmanu04.jpgcidir_2012gmanu04.jpg

HOME > 研究活動 > コラム No.1

newslettertitle.jpg

コラム

●コラム No.1
いまさら聞けない緊急地震速報のなぞ
text by 鷹野 澄(2008年7月25日掲載)

 緊急地震速報では、発表される予測震度が徐々に大きくなることがしばしば起こります。岩手・宮城内陸地震のときに実際に観測された最大震度は6強でしたが、緊急地震速報の第一報は震度5弱、第二報でも震度5強の予測でした。テレビやラジオでは、この第二報の時点で放送されています。その後次々に続報が出て最終的に震度6強の予測が出たのは最初に地震を検知してから8.4秒後の第五報でした。なぜもっと早く正確な予想が出せないのでしょうか?その理由の一つは、大地震ほど地震断層が破壊するのに時間がかかるという事にあります。

 岩手・宮城内陸地震では、震源で破壊が開始してから断層上を破壊が進行して終了するまでに10秒~15秒程度がかかりました。平均的には、地震の規模によってM(マグニチュード)7で10秒程度、M8で30秒程度がかかります。緊急地震速報は最初に地震が検知されてから数秒で出しますので、まだ断層が破壊している途中の時点で出されることになります。このため、最初の情報ほど地震の規模が小さく、そのため予想震度も低くなってしまうのです。

 このように大地震の場合は、地震波形の最初の数秒で最終的な地震の規模あるいは観測点での最大震度を正確に推定することは原理的に見ても大変難しい問題です。そこで時々刻々推定を繰り返すことで、断層の破壊が終了する前に、最終的な推定を早めに出すという方法がとられています。今回の岩手・宮城内陸地震でも、破壊が終了するより前の8.4秒の時点で最終的な予想震度6弱から6強が出ているのはそのような処理によるものです。

 さらにより早く最終的な地震の規模あるいは観測点での最大震度を推定するという研究も行われており、今後の成果が期待されます。

cidirR&C-imasara200807-figure.gif

岩手・宮城内陸地震の際の緊急地震速報の予想震度とマグニチュードの時間的変化。気象庁が公表しているホームページの資料から作成したもので、予想震度は、第一報では震度5弱、第二報で震度5強、第五報で震度6弱から6強と徐々に大きくなっている。